「ブルーボーイ事件」から「トランスマーチ」へ LGBT活動家の意見の変遷
東京トランスマーチに初参加
マーチ出発前のフロートにて
2025年11月22日、5回目の『東京トランスマーチ』が開催され、私も参加してきました。
ここで読者の皆さんは「あれ?」と思われるかもしれません。
「LGBTの祭典といえば東京では毎年『東京プライド(旧東京レインボープライド)』が開催されていたはずだが、それとは違うの?」と。
そうなのです。
トランスジェンダーの中には『東京プライド』にいい感情を持っていない人がいて、それなら別のイベントを自分たちで立ち上げようと2021年から始まったのが『東京トランスマーチ』なのでした。
「LGB」と「T」の課題は違います。
政策の優先順位に温度差が出てくるのは当然です。
LGBT運動がゲイやレズビアン主体の商業主義に傾いていったことへのカウンターでもありました。
政治性を排することで巨大化していったのが『東京プライド』だとすると、政治性を前面に押し出していったのが『東京トランスマーチ』です。
ゆえに、どうしても参加人数が限られてきます。
今年の『東京プライド』の参加者は約277,550人、『東京トランスマーチ』は約800人でした。
しかし、主催者側は、来場者の多寡をあまり意識していないように感じます。
なぜなら彼らを動かしているのは、亡くなった仲間への深い哀悼の気持ちだからです。
「トランスマーチはお祭りではない」という信念のもとに、集っているのです。
今年のテーマは「We Are Here-わたしたちはここにいる-」。
「生き延びて来年またここで会いましょう」との強い連帯は、『東京プライド』にはない切実さです。
だからこそ『東京トランスマーチ』は、人々の心に楔を打ち込むエッジの効いた運動になっているのでしょう。
(近年の『東京プライド』は、こうした非政治主義への批判を気にしてか、左傾化が加速しています。ヌエのように抗議の声を全て反省的に取り込もうとするので、辻褄が合わなくなっているように感じます。その話はまた別の機会に。)
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