同性婚訴訟、決戦の舞台は最高裁へ

意外にも東京高裁2次訴訟は「同性婚を認めないのは合憲」との判決を下しました。これまで5つの高裁で連勝を続けてきただけに原告団は大きく項垂れ、来年の最高裁に望みを託すのでした。判決文を読みながら、私が気になった点をレポートします。
松浦大悟 2025.11.29
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お祭りムードだった当事者たちに水を差す判決

11月28日、東京高裁は、同性婚が認められていないのは憲法違反ではないとの判決を出しました。

5つの高裁に6件起こされた同性婚訴訟で「合憲」は初めてでした。

今後ステージは最高裁に移り、来年の4月ごろに結論が示されると言われています。

元裁判官の岡口甚一氏は、この合憲判決で逆に最高裁の自由度は広がったといいます。

高裁がすべて違憲判決であれば、さすがに最高裁はそれを合憲とはし難い。

最高裁だけが一人非難を浴びてしまうからです。

しかし、これで法曹界の同調圧力に縛られることなく、フリーハンドの状態を保つことができるのだと。

岡口基一
@okaguchik
東京高裁は裁判官がコロコロ変わります。
東京高裁同性婚第二次訴訟  
第2回期日後に、3人の裁判官が全員交代
増田稔裁判長は、一度も知財などやったこともないのに知財高裁所長にご栄転(^_^)。
その後着任したのが、バリバリの法務省帰りの東亜由美裁判長(^_^)
これは嫌な予感しかしない。
2025/11/28 12:58
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LGBT活動家は今回の同性婚裁判について「不当判決だ」と紛糾していますが、私はそうは思いません。

現行法での同性婚に違和感を覚える人が計量的にもこれだけ多いわけですから、6つの高裁判決がすべて違憲となればそれこそ司法への不信感は広がるでしょう。

意見分布の広がりがある同性婚は、まだまだ議論の余地があるのです。

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続きは、4698文字あります。
  • 東(ひがし)亜由美裁判長が意識していたものは何か
  • 同性愛者が子どもを産む時代
  • 同性婚には多様なバージョンがある
  • 東裁判長が飛び道具として憲法前文を使った意味
  • 『描く人、安彦良和』展

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