ペニスを切っても男性は男性?女性の定義とは
トランスジェンダー問題は終わらない
2019年から日本で始まったトランスジェンダー論争は、何を隠そう私がABEMA TVに出演した際に問題提起をし、そこから広く人口に膾炙していった現象でした。(動画あり)
2019年1月5日
松浦大悟
「海外では性適合手術による性別変更すら差別だとされ性自認の申告で性別変更できるようになってる所もあるが、フェミニストが大反対。野党のLGBT法案が成立すれば男性器がついてるトランス女性を女湯に入れなければ差別という事になってしまう」
KADOKAWAから出版される予定だったトランス問題を告発する本が脅迫によって発売中止となり、代わりに火中の栗を拾った産経新聞出版が『トランスジェンダーになりたい少女たち』を販売したのが2024年。
そこが一番のピークだったように感じます。
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ところが今やトランスジェンダーが話題に上ることはほとんどなくなり、人々の関心は外国人排斥問題へと移っていきました。
あれだけ「ターフだ!トランス差別だ!」と息巻いていたアライ(LGBTを支援するヘテロセクシュアル)たちも、どこ吹く風。
結局のところ、保守派はもちろんのことリベラル派も、「ノンケさん」たちはLGBTになど興味も関心もないのです。
「差別と戦う俺、カッケー」という心根は、利他という名の利己に過ぎないのだと改めて感じた次第です。
しかし、私たちLGBT当事者はそうはいきません。
「性」はアイデンティティの全てではないとしても、人生において大きなウエイトを占める一大事だからです。
人格を形作る上での基盤に、セクシュアリティが存在していることは間違いありません。
だからLGBTたちは、物心ついた頃から、「人とは違う自分は何者なのだろう」「自分はどこからきてどこへ向かうのだろう」と、普段ノンケさんが意識しないことを真剣に考えざるを得なかったのです。
ゆえにLGBT当事者の間では、現在でも毎日のように侃侃諤諤、尽きることのない議論が行われているのでした。
二つの新しい視点
いま私が注目しているのは、大田区議の伊藤つばさ氏(東京都)と甲府市議の村松ひろみ氏(山梨県)との間で繰り広げられているバトルです。
これがめちゃくちゃエキサイティングなのです!
伊藤つばさ区議は1995年生まれの31歳。2023年に参政党から出馬し初当選を果たしました。現在は離党して無所属で活動しています。
男性同性愛者であることを公言しているものの、LGBT法には反対の立場をとっています。もちろん移民政策やコロナワクチン政策にも疑義を呈している人物です。
一方の村松ひろみ市議は1974年生まれの51歳。こちらも2023年に初当選した保守系無所属議員ですが、彼女も元々は参政党の党員だったそうです。
小学生、中学生の三児の母であり、選択的夫婦別姓反対、ジェンダーフリー反対、包括的性教育反対と、旗幟を鮮明にした活動を展開しています。
今年、台湾出身の芥川賞作家・李琴峰(り・ことみ、35歳)氏から「SNSでセクシュアリティをアウティングされた」と提訴され、民事裁判で係争中でもあります。
こうしてプロフィールを見ると、どちらも同じような主張をしている保守政治家に見えますが、さて、どこにコンフリクトが生じているのでしょうか。
きっかけは、あるトランス男性(身体は女性で性自認は男性)が、乳房を除去する手術の前に彼女と温泉旅行に行き、一緒に女湯に入ったとXに写真を投稿したことでした。
その人は外見が男性にしか見えなかったことから、多くの人は手術をしていないトランス女性レズビアン(身体は男性で性自認は女性、好きになる対象も女性)だと勘違いをし、「男が女湯に入るな!」と大炎上したのです。
すぐさま、そのトランス男性は、生まれたときから戸籍は女性であること、治療も行なっておらず高い声が出ること、身体の形状に則って女湯に入ったことを説明したのですが、自分たちの誤りを認められない女性たちは逆上し、「胸オペするってことは性自認は男性ですよね?」「家族風呂を使ってください」「彼女を抱いているなら女湯に来ないでほしい」「女性は安心してお風呂に入れないのですか?」と攻撃を始めたのです。